2009年7月18日土曜日

『ヘルボーイⅡ ゴールデン・アーミー』('08 米)

『ヘルボーイⅡ』のDVD。

この映画はできるだけ大きい画面で観るべし。
とにかく視覚に訴える映画なので。
(ブルーレイも出てます。)



DVDのコメンタリーでは
ギレルモ・デル・トロ監督が、作品にちりばめられたメタファーや
ディテールの隠された意図などを解説してる。

歯の妖精たちによって壁がボコっと膨らむシーンが
リズの妊娠のメタファーになってたとか
言われてみてはじめて気付いたことが多かった。


ギレルモ自身、今まで撮った作品の中で気に入ってるのは
『デヴィルズ・バックボーン』『パンズ・ラビリンス』『ヘルボーイⅡ』
の3作らしい。僕も同感。

特に今回の『HBⅡ』は原作に忠実だった『Ⅰ』より
ギレルモの個人的な趣味の世界を開放して
やりたいことをやったのがプラスに働いた気がする。

コミックの映画化は、原作とのバランスが難しい。
その点、原作者のマイク・ミニョーラが
制作スタッフとして参加しているのも大きい。


ではこの作品を作るにあたって
ギレルモは誰(何)からの影響を意識したか?

コメンタリーで名前が挙がっていたのは
ハリーハウゼンリチャード・コーベン
ジョン・ランディスラヴクラフトなどで、
映画作品としては『フランケンシュタインの花嫁』、
スコセッシの『カジノ』に対するオマージュも出てくる。


Ray Harryhausen 1920年6月29日〜

特にレイ・ハリーハウゼンの存在はギレルモにとって大きかったみたいだ。

ハリーハウゼンは「特撮の神様」とも呼ばれている
アメリカの映画特撮のスペシャリストで
1950〜70年代に活躍したストップモーションアニメの巨匠。

ティム・バートンをはじめ、彼を崇拝している映画人は多くて
ピクサーの『モンスターズ・インク』には
「ハリーハウゼン」という名前の寿司屋も登場する。


しかしこの映画の世界観を支えているのは
まず第一に現場の役者や制作チームの熱意と忍耐力だと思う。
それぞれの担当している仕事の質と量が半端じゃない。


そして、こだわり抜かれた映像美はもちろんだけど
人間社会の治安を守りながらも
その容姿が不気味がられ世間から遠ざけされるヘルボーイと
その子どもを身ごもるリズの葛藤というテーマも見所。


 迷いのない登場人物で
 理想を強引に現実化していくような人物は危険なタイプだ。
 私はためらいがちで欠点もありながら
 それを受け入れている人物が好きだ。
       (コメンタリーより)

そんなギレルモの人間観が
映画のキャラクター達からも感じ取れる。


↓以前の記事
『Hellboy II: The Golden Army』('08 米)-2009.1.16