2008年9月29日月曜日
カ ー ゴ ・ カ ル ト
この間、カナザワ映画祭で観た
『世界残酷物語』('62 伊)というドキュメンタリー映画で知ったんだけど
→カーゴ・カルト(wikipedia)
簡単にいってしまうと
植民地化に伴って文化変容が急速に進んだメラネシアで
初めて「飛行機」を見た現地の人たちが吃驚仰天しちゃって
「あれは神様の乗り物だ!」とか
「先祖の霊があれに乗って
我々の所に文明の利器を運んで来てくれるに違いない!」
と信じてしまった、という話。
飛行機が豊かさをもたらすと考えた彼らは、労働を放棄し、
手作りの滑走路を作ったり、竹で飛行機のオブジェを作って
上空の飛行機を自分たちの所に招くための儀式を催す。
彼らは飛行機に雌雄があると勘違いし
「メス飛行機(オブジェ)」で
「オス飛行機(本物)」をおびきよせようと試みるのだ。
メラネシアはオーストラリアの北東に位置する島々の総称で
中には、第二次世界大戦の時に日本によって占領された島もある。
この地の先住民は今日のパプア系の祖先に当たる人たちで
炭素年代測定では、彼らは少なくとも3万5千年前には
一番東はソロモン諸島やその東の小さな島々にまで到達したであろう
ということが分かっている。
つまり3万年以上も前から島の自然と共に生き
精霊を信仰していた人たちの頭上に
いきなり巨大な鉄の塊が飛び始めたのだから
驚かない方がおかしい。
空港の金網にしがみついて
航空機を見つめている彼らの表情がとても印象的で、
そこにはこれといって主体的な感情表現はなく
まるで機体の、理解の範囲を超えた単純性に
ただただあっけにとられているといった様子だった。
カーゴ・カルトの大半は21世紀までに消滅した。